ネタ切れって訳じゃありませんがー
B&Cで連載『 Zopf マダムの華麗で多忙な日々』から、昨年分をご紹介しようかと思います。
業界の専門誌なので、ちょっと先輩風吹かせて〜リテイルの店主とマダムにと手厳しく書いていますが。たまには真面目なのも良いかと(笑)。
かなり長いので (//∀//) 申し訳ありませんがww
2000年 ZOPFがオープンした時は「客に来て欲しくないのか?!」と不評を買う大変な幕開けでした。
中の見えない扉に、薄暗い店内。男性でも一瞬入るのをためらう店の造りに、多くのお客様が戸惑われました。
もちろん独特だったのは建物だけではありません。パンの種類も(当時で)150種以上。ハード系も多く、日本ではまだまだ馴染みの薄かったライ麦パンまでもが、あんパンやクリームパンと一緒に狭い店内に平然と並べられている様子も奇妙だったに違いありません。
中でも最大の特徴は、常に焼きたてを提供するライブ感ではなかったでしょうか。いつ来店しても「焼きたてが出まーす!」と元気な声が響きドンドンとパンがあふれ出て来る様は、パン好きさんでなくともわくわくが止まらなかったことでしょう。まるで自分の来訪を待っていてくれたかのようなパン達を見て「買わない訳にはいかない!」そんな魔法がかかる瞬間だとお客様は言います。
これが店主伊原が思い描いた『おもちゃ箱をひっくり返したようなパン屋』ZOPFの誕生でした。
ZOPFを造り上げるには、語り尽くせない努力と苦悩があります。多くの人が美味しいパンさえ並べれば、パンは売れ店は繁盛すると思っているようですが、実際のパン屋はそんな甘いものではなく、日々それこそ泥臭さの中にあります。1歩判断を間違えたら店が潰れ兼ねない危うささえあるのです。
私がZOPFの裏方業に徹したのは、ZOPFをストロングな店にするには、それが必要だったからだけで、色々なパン屋があるようにスタイルは千差万別と思っています。それこそマダム業もおなじでしょう。
それを十分踏まえた上で、私が今までZOPFでやって来たことが、多くのマダムのヒントとなるのであれば、それは嬉しい事だと思いました。それがこの連載を引き受けた経緯でもあります。
偉そうに美談にして語るつもりは毛頭ありません。歯に衣着せぬ所があるので、時には恥を忍びつつZOPFのエピソードなどをお話したいとも思っています。そして心配性の私とは正反対で、いつでも天真爛漫に豪快にZOPFを引っ張る店主の完全な黒子として、どのようにZOPFに存在しているのかも、楽しくお話で来たらと思っています。
まずは年頭ですから、昨年までの反省と新年の目標を立てみることをおすすめします。ぜひご夫婦で!またスタッフと。
私達も毎年クリアーすべき問題点と新しい年は「こうありたい」と言う思いを話し合っています。
それにはルールがあって、2年同じ目標を持ちません。すなわち問題は必ず1年で解決し、目標も達成させるが原則です。そうすれば翌年は確実にステップアップが出来るからです。これがZOPFのやり方であり、店を着実に成長させて行く方法でした。
どうでしょう?
何年も愚痴り続けている問題はありませんか?
「頑張る」精神論だけでは、パン屋はやって行けません。
店の多くの問題は、お客様や立地ましてやスタッフの良し悪しという事ではないと思います。私達は何をするにしても店主とマダムである自分達からだと考えています。責任の全ては自分にあると言う自覚です。
ですから「店主として」「マダムとして」やるべきことを明確にして、目標に向って積極的に取り組みます。その時良きパートナーとして互いに支えるは当然でしょうが、時にはライバルのように切磋琢磨する緊張感を持ち続けることも必要だと思っています。
私達は2人でよく食事に出掛けます、店主が無類の食いしん坊だからでもありますが。そこで1日にあったことをマシンガンのごとく喋りまくります。時にスタッフの愚痴が止まらない日もあります、あまりの情けなさに悔し涙まで浮かべたりしてね。そうした時、大概は互いの主張に同情はしてもらえず「結局あなたが悪いよね?」って諭されてしまうのです。例えばスタッフがミスを起こしてしまっても「ミスを起こさないよう訓練しておかなかったのが悪いし、危機管理が出来ていなかったのも悪い」と分析されてしまう訳です。それはもうシビアですよ。
かなり夫婦関係が殺伐としているように思われそうですが、仕事のパートナーという立ち位置と夫婦という関係は、当然のごとく同じでは居られないものでしょう。すなわち妻の得意技『泣き落とし』は通用しないのです(笑)。
目標を掲げると、よりビジョンが明確になります。
また声に出してしまうと、有言実行で後に引けなくもなります。
難しく考えずに「楽しい1年を送りたい」もいいでしょう。楽しくあるには、あなたが笑っているだけでなく、きっと周囲の皆も笑っていられる環境になければならないでしょう。全員が笑うには?恐い顔になってしまっている原因は?
そんな風に考えを巡らせてみて下さい。原因を取り除くのはあなたですから、さ〜頑張らないと1年はあっという間です。
<2014年 1・2月号 より>