先日、ついに!あのN○Kさんからお電話を頂いた!!(笑
取材の取材だったようで「まだまだ企画の段階で。。」っと言いながら、あれこれ質問を受けた。
なんでも「パンの包装について」取材をすすめているようで、「最近の包装は過剰包装ではないか?」とか「包装の意味は味移りを防ぐだけですか?」とか「なにか袋の入れ方にこだわりがありますか?」などなど、本当に素朴な質問だったが、改めて言葉にして伝えてみると、「パンの包装」ひとつでも観点がいくつもあって、私はとても面白いと思った。
私もよくパン屋巡りをする。パンそのものの味だけでなく、店の造りや販売方法、そして包装紙や包み方・渡し方など、否応無しに目について〜(笑)その違いについて考える事が多い。
とくにデパート内で購入したパンの包装は、やや過剰包装ぎみと感じる事は多く、その待ち時間にややイラっとしながらも(笑)きちんと丁寧に包まれて返されたパンから普段手にするパンと違う「リッチ感」を感じてしまうのは否めなかったりする。これもまた捨てがたい感覚だな〜と眺める訳だ。
2年前に銀座有楽町の阪急デパートの催事を行った時、「包装は町のパン屋みたいでわ困るんです」と言われた事を、今でも鮮明に思い出す(苦笑)。
しかしパンの包装は、見栄え良く納めて渡す事だけが目的ではないと私は思う。ただ味移りが嫌だからだけで、区別する訳でもないし、「全て同じ様に同じ袋に入れる」と言うやり方ですむ事では無い、もっと重要な意味を持っていると思う訳なんだ。
例えば「クロワッサン」、サクサクと乾いた層状の生地が特徴で、ハラハラとしながら口の中でその薄い生地が溶けていくのが、最大の魅力だ。だから、そのクロワッサンを包装するとするなら、ZOPFなら紙袋に入れて封は完全にはしない方法を取る。ちょっと風通し良いぐらいの扱いだ。そうすれば、クロワッサンは、そのものからまだ放出する水分で自分をナヨッとさせる事も無く、適度に乾きつつサクサク感を保って持帰れるのだ〜。
では「あんパン」だったらどうだろう?お饅頭のようにやや皮にもしっとり感があるのが美味しいとなれば、クロワッサンのような包装をしたら、表面はガサガサになってしまい兼ねない。極端なパンを例にあげるなら、スライスの食パンなどは、ビニールに入れなければ、あのソフトな表面は保てない。
こんな風に、パンの種類によって包装の仕方は変わる。変わるべきなんだ!
湿気を嫌うパンもあれば、早めに袋にしまい込む方が美味しいパンもある。もーっと細かく言うと、焼き上がって、冷めたらすぐに包装したらいいパン、1時間後が美味しいパン、半日後がいいパンなんてのもある。その上、保管「袋」は、紙製が向いているものもあるし、ビニールの密封がいいもの、布製など色々ある。私はパンの種類と同じだけ、扱い方があると思っている。
これを店主のこだわりと受け取るようだが、私にすれば至極当然で、せっかく作ったパンを美味しく召し上がって欲しいと言うだけと思う。
しかし、こんな事もある。
私はZOPFのバターロールが1番好きで、良くこっそりと食るのだが、人肌ぐらいに冷めかけた時に、早めにビニール袋に納めてしまったものを、翌日頂くのだ。これが究極の美味しさ呼ぶのであ〜る(笑)
だから、いつまでもトレーの上に出しっぱなしのバターロールは、申し訳ないが好きでない。空調に長い事さらされて乾き切ったパンは、どうしても美味しいと思えないのだ。
時々他店でそんな姿を見る事がある。同様に乾いて縮んでくびれたパンドミーなど、見るに絶えない偲びがたくなる。これは店側の「焼き立てパン」を演出させる方法のようだが、いかがなものなのだろう。。
「袋に入っているのは昨日のパンですか?」と質問を受ける事も確かにある。その為スタッフが「早朝焼き立てのパンは、もっと遅くなってから袋に入れましょうか?」と聞いて来る事があるが、「買わせるが目的」では無い、それは本末転倒だよと、私は言う。
エコとか自然に優しい暮らしを推奨する人から見れば、過剰包装はもってのほかかもしれない。また、お客様の中には細かい事を気になさらない方もいるから、「ぜーんぶ一緒に袋に入れても構わないわよ」なんて声をかけられる事もよくある。運ばれたトレーの上を見れば、ピサの上にあんドーナツがでででーんと砂糖をまき散らせながら鎮座してる、、なんて感じだ(>_<))
それもまたお客さまのニーズであるから、私たちはそれに添うよう頑張るしかないが、でもやっぱり、美味しく召し上がって頂きたいから、「ゆずれない事」も出て来る。あんドーナツは小袋に、クロワッサンとあんパンも一緒の袋には入れない。そう、それにはそれなりの理由があってであり、包装の仕方には意味や意図を持っているからなんだ。
又少し他の角度として、このところの石油製品の値上げから、包装紙の値上げが行なわれている。特に石油製品のビニール袋類の値上げだ。
スーパーでもエコバッグでお買い物をしている主婦を沢山見る様になった。
1度あるパン屋で、お会計の際に「袋は持って来た?」聞かれ、大慌てをしてしまった事があった。「パンを低価格で提供したいから、余計な経費をかけない努力をしています」がその店のコンセプトだった。
「袋の代金は商品の代金に組み込まれているんでしょうか?」こんな質問もあったが、どんな商品でも、その価格には人件費や光熱費も施設設備費など全てが含まれて、商品の値段は決っていたものだが、もし世の中にエコ派が増えて、全ての包装が不要になったら、自分達は使わない袋代を請求されるのは、不当と思うようになるだろ。そんなことも考える。
しかし、またある有名なパン屋さんで、レジ前に「この店では、スタッフはパンを素手で触りお切りします。これが当店のスタイルです」と注意書が貼られていた。無駄のないシンプルさがコンセプトで、スタッフはひょいと素手で取り上げてザクザクとパンを切った。そして無造作に一つの紙袋にいくつかのパンを詰め込んでいった。
お会計をすませ家に戻って開けてみると、スライスしたパンの表面はすでにカサカサとなっていて、慌てても個別にする保存袋を探したが、それもなく「そうか〜」っと考えにふけった。。実はその時、満足感が無かった事を思い出すのだ、それはパンを切ってくれたスタッフの身なりが汚らしく、食す気持ちをなえさせていたのだった。汚れたTシャツ、ほころんだバンダナ、不精ヒゲに裸足のサンダル、、そんなスタッフが素手で切ってくれたパンだった。これは本当に感情的(精神的)なもので、パンには何の違いも無いはずなのに〜それも十分解っているのに〜それでも悲しい思い出となっている。
包装は、パン屋とお客様をつなぐ「つなぎ」の役目である様に思った。
パンの包装をキチンとしてくれると、確かに大切にしたいと言う気持ちが生まれる。ZOPFの通販の人気を分析した方が、その梱包の丁寧さっと評価して下さった。やはり無造作に詰め込まれたパンよりは、嬉しいものだから。
こんな事をあれこれ話している内に、取材の方はう〜んう〜んと唸りはじめていた(笑)。思ったより奥が深かったようだ〜(笑)
数日して出演の依頼がやって来たが、今はどうしても取材を受けられず丁重にお断りとなった。非常に残念だったが〜放映の日が決ったら教えて頂く!
どんな番組になるのかな〜?とても期待している。