あるブログに「馬に水」と言う、話しが載っていました。
「馬は水をあげても、飲みたくなければ飲まない」というものです。
それはそのブログの作者が若い頃、勉強をしなさいと言っても聞かないのを、父親が息子を馬に例えて話をしたものだと言っていました。作者は「もっともだ」と思いながらも、「どうしたら水を飲めるのか?」考えたとも綴っていて、微笑ましくも読みましたが、話しはさらに現代に進み、現代は権力をかざしたり無理矢理にすれば、水を飲むものだと思っている者が多いのではないか?とも語っていました。
私も我が身もと思い出しとても納得をしつつ、さらに息子達をながめて同じような経験があるな〜っと反省しましたが、では今 ZOPFで修行をしているスタッフ達にそれを当てはめられるのか?と思った時に、心中は穏やかではなくなりました。
もっと状況は切羽詰まっているからです。
先日もZOPF中が停電になるアクシデントがありました。
漏電によるブレーカーのダウンでした。
ただブレーカーをあげる事しか知らないスタッフは、何度も上げては、またダウンを繰り返し直すことはできませんでした。結局 店長を呼びに慌ててやってきて、停電はすぐに直ったのですが、その時にその直し方を教わろうとしていたスタッフはたったの1名だった事に、私は何で他の者は興味がないのだろう?と驚きました。だって将来パン屋を開業したいものばかりのはずなのに、漏電なんか一生のうちに幾度か起こりえる事でしょう?その時にどうするの?って事なんですよね。もちろんすぐに飛んで行ってくれる店長は居ませんから、停電になればパンが作れず、それがパン屋の死活問題であると直結して解っている者が居なかったと言う事なんですよね。
「喉が渇けば水は飲むのでしょう」と悟りでも開いたように見守る事は、賢そうである意味 見捨てている気さえしてならないと思えました。もちろん、作者の父親は、そうでは無いのでしょう。作者は気がついていたのですから。そこがやっぱりお二人とも賢いです。
でも世の中、賢い者ばかりではありません。。。残念ながらね。
正直、スタッフをながめてみて〜、いったいどのくらいパン屋として成功する者が出るものなのか、考えれば考えるほど胃が痛くなります。。馬鹿ばかりですからね。。(笑)
それでも、出来ればここに居る全員が「パン屋に成って良かった〜」っと思える人生を送ってもらいたいと強く願っています。
こんな風に語ると、聖職者ぶっているようで〜偽善者っぽくも受け取る人がいるかもしれませんが、ZOPFの名が知れてからと言うもの色々な仕事がとにかく舞い込むようになりました。
私にすらセミナーの講師依頼がくるのですから、店長はもうもう凄いものです。。。
でも店長は、昨年少し忙しくし過ぎてしまったのを反省し、今年は外に出たがりません。私も表立った仕事は引き受けません。やっぱり私はZOPFの黒子でいいと思うからです。
私達は、スタッフにどうやって仕事を伝えて行くか、実は〜年末から ついさっきまで、そんな話合いをし続けていました。
偶然にもこの「馬に水」のブログを店長も心を止めていた様で、笑ってしまいましたが。
結果、私達は今までのように、しつこくとも〜おせっかいと思われようとも〜、うるさいほどに口を挟むしかないと結論付けたのです。馬は飲まないものだと分かっていてもです。
でももしかしたら、しかたなく舐める事で覚えることもあるかと願って。
さっきスタッフへ送る一斉社内メルマガに「覚悟するように」っと書き込み送信しました。
今頃、げーって言いながら読んでいる事でしょう。
ゆとり教育も見直され始めています。時代は変わるものなのです。
自我に任せ自由である事は、分別が解り人生にゆとりができた者の発言だったように思えたりもしています。。それで良いと誰もが思ったはずだったのにという事でしょう。
現実は不景気で潰れて行くパン屋が増えています。
儲かっていないパン屋も多いです。
その中で食パンが1斤78円などという価格破壊が起こってしまうデフレが起こり、小さなパン屋が1斤200円の食パンを売るのは、本当に難しいです。大変な時代です。
本当に1斤は200円だと解って頂けるように、美味しいパンを作って行かなければいけないのです。そういうパン屋が繋がって行かなければいけないでしょう。そしてそれは、200円を認めて頂ける誠実なパン職人が育たなければ、いけないのだと切実に思うのです。
私達は無理矢理だけれども〜水を飲ませる魔術師にならなければいけないと思うのでした。