12月は忙しい、来週から工場のスタッフが1名増える事になった。白羽の矢が立ったのは、この春製パン菓子の学校を卒業した20才の新人の女の子だった。
「いいな〜」ため息のような声も聞こえた。
人選は店長の考えだから、自分達の思い通りにはならない辛い部分でもある。
こんな時 私は「あの子の方がもう歳が上だから」とか、つい感情が先走ってしまうけれど、店長は冷静にと言うか、、実に端的に的確に物事をすすめる。
こんな時、男性の行動力(能力)は素晴らしいものだっと思ってしまう。
あはは
なぜそこで「男性の能力」っと考えるのか、不思議に思うかも知れないけれど、ずーーっと色々な場面で私は仕事の能力差を見て感じて来ていた。それがパン屋となればなお一層、感じる仕事だったからかもしれない。
これは私と店長が高校からの同級生である事に起因するのかもしれない(笑)。
もちろん、子どもを産めるのは女だけだし、育てるのだって母親は必要で、女の能力だって素晴らしい。パン屋に女は必要無いかと言われれば、とんでもない!細やかな気遣いはなかなか男の人には難しい。
そんな色々な事が分かって来ると、世の中の色々な事が男女で分業されていたりして、面白いものだと思う事しきりだ。
沢山のスタッフに囲まれ、ZOPFの仕事が流れて行く。もちろん男女という区切りだけでなく、それぞれでそれぞれが輝き力を十二分に発揮しているから、円滑に流れているんだとつくづく思う。そして何気無く笑っているだけだけど、店長がそれを引っ張っているんだと思う。きっと彼の中には、無意識なビジョンがあるのだろう。
工場に入るには、コック服が必要だ。
新人さんの採寸をして、ユニホームを整えるのは私の役目。
この「ZOPF」の刺繍がされたコック服を見て、誰もがごくんと息を飲む瞬間だ。
「長袖は暑苦しくってヤダな〜〜」
堅苦しい重いコック服を着せると必ずといって、若い子はこう叫ぶ。
「嫁入り前は文句は受け付けませんよ!ダメダメ」こう言って聞かせるのも毎度のことだ。